月に囚われた男 あらすじと評価

  • 2015-6-6

あらすじ

近未来。エンジニアのサム・ベルは、月の裏側で核燃料を採掘しています。3年間たった一人で基地に住み、ただヘリウム3を掘り続けるという孤独な仕事でした。作業自体は簡単で、余った時間は体を動かしたり、趣味の工作をして過ごします。話し相手はコンピューター。

ときどき送られてくる、地球にいる家族からのメッセージを見るのが何よりの楽しみでした。そして任期満了が近づいたある日、サムは採掘中に事故を起こしてしまいます。

目を覚ますとそこはいつもの基地の中でした。たったひとついつもと違っていたのは、自分がもう一人そこにいたということでした。サムは基地の中を探し回り、ついに重大な秘密を見つけ出します。果たして、サムは無事地球に帰ることができるのでしょうか。

この映画は一体何なのか?と、疑問を感じながらも夢中になってしまった作品

一風変わったSF映画をご紹介します。『月に囚われた男』は比較的地味な作品ながら、いくつかの栄誉ある賞を受賞し、多くの映画評において全体的に高評価を得ています。

ダンカン・ジョーンズ監督の初長編映画であり、わずか500万ドルの予算で制作されました。驚異的な低予算でCGも使わずに、月面という特殊な環境を見事に表現しています。もちろん、他のSF大作と比較すればレベルの低い映像かもしれませんが、たった1人で月に住んでいるという奇妙な世界は違和感なく感じられます。

まず、月に建てられた狭い基地の中での異様な緊張感が伝わってきます。話し相手となるコンピューターは意味ありげな発言をし、地球との通信機器はなぜか壊れている。そして主人公は何やら体調が悪そうな様子。何か起きるのではないか?と思わせる感じがありありとした中で、通常業務が行われていきます。「いつ来るか、いつ来るか?」とハラハラしながら見ていますが、実は全てがとある大きな偽りの中にあったのです。

あっと驚くこの事実に、そもそも意味はあるのでしょうか?こんなに手間をかけて、サムを騙し続ける必要があったのでしょうか?3年という限られた期間しか働くことができないという事実はあるにしても、もっと事務的であってもいいはずです。

もしかするとこれは、いつか訪れる未来の地球の悲惨な姿を表しているのかもしれません。生きる意味も、生きる価値も作りものでしかない、そんな時代が来るのかもしれません。物語の最後の部分は評価が分かれるところですが、暗い未来に差す一筋の明かりのように私には思えました。

ダンカン・ジョーンズはこの映画の成功で注目を集め、続く『ミッション: 8ミニッツ』で映画監督としての地位を明確にしました。デヴィッド・ボウイの息子という称号が、ダンカン・ジョーンズの父親という呼び名に変わる日が来るかもしれません。と言うには、偉大すぎる父親ですが。

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