天井桟敷の人々 あらすじと評価

あらすじ

19世紀のパリ、大勢の人でごった返す通りには人々のエネルギーが満ち溢れていました。パントマイムを演じる売れない役者バチスト(ジャン=ルイ・バロー)と見世物小屋で働く年上の芸人ガランス(アルレッティ)が出会い、恋に落ちます。

ガランスの友人で悪党のピエール、野心たっぷりの俳優フレデリック、そしてモントレー伯爵もガランスに惹かれています。バチストのそばにはいつも、劇場の座長の娘ナタリーがいました。

バチストとガランスは心の底から愛し合っていましたが、結ばれることはありませんでした。やがて月日が流れ、ナタリーと結婚したバチストは売れっ子の役者になり、ガランスはモントレー伯爵の愛人として優雅な暮らしをしていました。けれど、それぞれの人生の中で、お互いを思う気持ちは決して消えることはなかったのです。

一度は見ておきたい、美しい愛の物語

1945年公開のモノクロ作品です。この年は、第二次世界大戦が終わった年でもあります。

あの時代、日本中が飢えに苦しんでいたあの時代、3年という長い時間と莫大なお金をかけて、フランスではこんなすごい映画が作られていたわけです。

かといって、フランスの人々が平和にのんびり暮らしていたわけではもちろんありません。苦しい時代の中、自由と平和を愛する人々が、戦争の圧力に屈することなく自分達の文化を守り続けていたのです。ヨーロッパの文化の力強さに驚かされます。

タイトルの「天井桟敷」は、劇場の観客席の最上階、一番見づらい安い席のことです。

演劇が一番の娯楽であった時代、大勢の庶民がこの席にぎゅうぎゅうに集まって演劇を楽しみました。

彼らは天井桟敷からヤジを飛ばし、ときには拍手喝采で劇を大いに盛り上げたのだそうです。

原題では、高い所から無邪気に楽しむ庶民たちを「天国の子供たち」と表現しています。

逆境にも負けず、演劇を心から楽しみ続けた人々のことを表しているのでしょうか。

タイトルからはちょっと想像しにくいのですが、この映画は、バチストとガランスの愛の物語です。フランス映画というと濃厚な愛を描くイメージがありますが、深く美しい、純粋な愛を描いています。2人を取り巻く環境が2人を引き離し、苦しみながらも演じ続けるバチストのパントマイムは絶賛され、天井桟敷の人々は大喜び。相反する感情が交錯する、まさに人生の縮図のようなストーリーも見事です。

映画評では常に高く評価され上位にランキングしているので、名前だけは知っているという方が多いのではないでしょうか。評価のことは一旦忘れて、純粋に楽しんでほしい映画です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る